悪天候時の山行(雪山編)
ここのところ、「遭難」を事例に扱う本を読んでいて、様々な遭難があることを知りました。
その中に気象によるものがあり、道迷いや滑落の原因にもなり得ます。
山登りを始めて、悪天候時はそもそも登らないスタンスだったのですが、そういった状況を体験しておくことも今後の役に立つかと思い立って行ってきました。今回は降雪のある状況下です。
今年の2/9-10の記録です。
※この記事は悪天候時の山行を推奨するものではありません。
気象条件
気温は日中でマイナス12℃。風速15m/s〜です。降雪量は未調査です。翌日、新雪を踏み込むとハイカットの靴が埋もれるくらいだったため体感で30cm〜はあったと思います。
視界
登り始めから常に降雪のある状態でした。
風の勢いにより時折、身体が浮かぶような感触があり、耐風姿勢を強いられました。
山頂に近付くほど視界が悪くなり、トレースは無く、ルートファインディングに困りました。接近しないとピンクテープや赤ペンキを視認出来ません。
また気温が低いため、スマートフォンの電源が入らず、GPSで現在地を確認出来ないため、細かくコンパスで進行方向を確認していました。
実際の映像
装備の有用性
悪天候時でも歩き続けるために必要だと思った装備について考察です。
ゴーグル
視野性
私はオークリーのキャノピーを使っています。
この時は、バラクラバの上にヘルメットを装着し、さらにハードシェルのフードを被せていたため、ゴーグル上部のベンチレーターが塞がってしまい、レンズの中が曇って非常に視認性の悪い状態で歩きました。
耐風性
バラクラバを付けているだけだと、目元が風の直撃を受けます。吹雪いていると、雪が目に入り、まともに見開いていることが出来ませんでした。
また風の影響は寒いだけでは済まず、気温の低さと風速も相まって、次第に感覚がなくなっていきます。ゴーグルを装着することで、緩和させることが出来ました。目を開いて歩くことが出来ないと、ルートを見誤るため、降雪時は必須の装備です。
ウェアのレイヤリング
上
モンベル スーパーメリノウールLW→パタゴニア R2→モンベル ストリームジャケット
行動中は暑くもなく寒くもなく、活動しやすい状態をキープ出来ていました。
休憩時はR2の上にパタゴニア マイクロパフフーディを着て、着乾かしました。
下
モンベル ジオラインEXPタイツ→モンベル ノマドパンツ→モンベル アルパインパンツ→モンベル アルパインスパッツ
こちらも行動中は特に問題なし。
手
バーグハウス メリノウール グローブライナー200→ヘストラ 3-FINGER FULL LEATHER SHORT
ラッセルのため手袋が雪に触れることがあり、気温の低さと相まって凍ってしまいました。革製品は水に弱いため、クリームやワックスを塗り混んでいましたが、激しいラッセルにより保水したようです。
インナー手袋まで浸水した訳ではなく、表面だけであったため寒くはありませんでしたが、翌日は凍って指が通らず、換えの手袋を使うことになりました。
ヘストラは気に入っているのですが、ラッセルを考慮するとフルレザーではなく、化繊タイプの方が良さそうです。
足
モンベル基準で極厚手の靴下です。やや寒さを感じたため、マイナス10℃帯に入ると、保温材入りの靴を合わせた方が良さそうです。
結局、悪天候時はどうする?
今回はコンパス頼りに何とか登頂できましたが、何度も登ったことのある山だったからでしょう。上記のような視界の中ではリングワンダリングに陥り、遭難に繋がる可能性が高いです。
悪天候の中を歩く事になったとしても現状を理解し、進む・引き返す・立ち止まるのリスクを考慮して、どう行動するかを考えさせられました。ただ、落ち着いて考えることは難しいです。
トレーニングの一環のつもりでも遭難のリスクを十分に体験出来たため、改めて悪天候時の山行は控えるべき、可能なら中止すべきだと思いました。