2017年5月1日残雪の北アルプス燕岳
5/1、5/2を利用して1泊2日の北アルプス燕岳(つばくろだけ)へ行って来ました。
登山を始めて3ヶ月くらいなもので稚拙な計画ですが、燕岳に登れたのは中々良い経験になりました。
燕岳は北アルプスの入門用に良く紹介されていますが、登山の入門用ではないため、それなりの装備と難易度で挑戦する山です。
目次
- 出発
- 燕岳登山口
- 登攀開始
- 第一ベンチ
- 第ニベンチ
- 第三ベンチ
- 富士見ベンチ
- 合戦小屋
- 天候急変
- 燕山荘(えんざんそう)到着
- テント設営
- 2日目
- 燕岳山頂へ
- 燕岳山頂
- 大天井岳へ
- 下山
- 反省
- 動画
- 今後
出発
地図や食料などのパッキングを終え、今回の装備の重さを測るべく体重計に乗ると、
21.1kg
今までにない山行なのにヤバイ。縦走するのにこんなに重くて大丈夫か心配になったので持参する水を減らし、山小屋で買うつもりでこの重さです(水は計2.5L持参しています)
試しにザックを背負って自宅近くの土手を歩いてみると思ったほど重くなく、4.5km/hくらいで歩けていたので何とかなるかと判断し、計画通りに出発。
山行前にM3というイベントに行きたかったため、4/29(土)の夜行バスでまずは東京へ。
さらに4/30(日)の夜行バスで東京の竹橋駅から中房温泉へという日取りです。
燕岳登山口
バスには私以外にも3組いました。下車後、みなさんと同じように近くのベンチで着替えです。
初め、上はソフトシェル+インナー、下はソフトシェルという格好でしたが、登山口ですでに寒い。
後々、雪を踏みしめる事になるので、上下ストームクルーザー(シェル、下はオーバーパンツ)にゴアテックススパッツを装着。スパッツをびしっと締め付けます。
5時45分出発。
登攀開始
登り始めると早速残雪が。雰囲気は六甲山近辺と変わらない印章でした。ここまでは。
第一ベンチ
6時24分。立ったまま行動食と水を補給します。そこそこ急な登りもあり、軽くウォーミングアップです。
第ニベンチ
7時1分。このあたりから積雪が見られるようになったのでアイゼンを装着します。
天気予報では午後から雨の予報のため、それまでに山頂に着くよう計画していました。すでに小雨が降り始めています。
第三ベンチ
7時40分。ようやく半分。ここまでにも急登が多く、息が上がります。あせらずペースを一定にして登ります。
富士見ベンチ
8時25分。う、埋まっとる…
第3ベンチから富士見ベンチにかけて、積雪と急登のおかげで体力的にかなりキツイです。しかも粒の大きな雪が降ってきて天候の悪化を知らせます。さらにここから先の合戦小屋へはもっと急登に…
合戦小屋
9時3分。ここまで来るのにも一苦労。先行者もいて、トレース跡もあるため迷うことはありませんがとにかく急登+積雪がきつい。手を伸ばせば斜面に手が付くようなところばかりです。
蓬莱山を思い出します。
天候急変
9時45分。合戦小屋までは木々に遮られていたため、気づかなかったのですが、森林限界を超えてくると途端に視界が悪い事に気付きました。
赤旗目印は目視で15〜20m間隔で立っているように思うのですが、一本通り過ぎると次の一本を捉えるのに精一杯の視界の悪さです。しかも天気予報では雨を気にしていたのですが、雷も鳴っていたり。
視界の悪さと、手袋を外したら凍傷になりそうな寒さの中、段々眠くなってきます。そんな中、カーボンのトレッキングポールと金属のピッケルのどちらが落雷に遭いやすいのかなんて考えていました。
燕山荘(えんざんそう)到着
吹雪の中、急登を越えると次の急登が見えるという何ともつらい体験を繰り返してきたのですが、ようやく小屋らしきものが見え始めます。最後の登りを終え、小屋の入り口まで100mの看板を見つけ、安堵します。
11時35分。燕山荘到着!入口が重い!疲れた身体で開けるのに一苦労です。中で寒さしのぎをさせてもらって、午後の天気予報を教えてもらいます。夜間まで暴風で明日は晴れるとのこと。
ここまで5時45分出発から11時35分まで5時間50分で到着。6時間は越えるだろうと見込んでいたのですが、公式タイムと山と高原地図で予想していた時間より早く着きました。この後、天候はさらに悪化し、暴風と吹雪、雷に。
また燕岳を登るにあたって下記を参考にさせて頂きました。
テント設営
他に登ってきてる人もあまりいなかったので、ベストポジションを取るべく、受付でテン泊代金(700円)を支払い、幕営へ。
先行者による地ならしと簡易イグルーに感謝。(イグルーでいいのかな?)
しかし、ペグを打つにはちょっと狭いのでテントを壁の片側に寄せて側面二ヶ所とフライシートの側面一ヶ所でスノーアンカーを埋めます。
アルミペグを十字にして張り綱に付けようとしたのですが、今回はスノーアンカーに活躍してもらいます。素手にならないと張り綱を結ぶテクニックを持ち合わせていないため、燕山荘でスコップをお借りして掘り起こしていきます。アンカーと張り綱はカラビナで留めます。
※張り綱の両端は予め、カラビナに結んで持参して来ています
フライシートを夏用にしているのは、雨対策です。スノーフライはびしょびしょになってしまうので。
テント内
手袋を吊るして乾かします。防水の革製とは言え保水して色が変わってしまっていました。インナー手袋まで濡れています(汗も混ざってますが)次回は化繊のものを探してみます。化繊でも保水するかな。
気圧が高くなって膨張したアマノフーズたち。この後、おいしく頂きました。
ちなみに手袋は乾かなかったので朝起きたら凍っていました。カッチカチで指が入らない・曲がらない。
もちろん水拭きタオルもカチカチ。
2日目
4時30分。暴風で煽られるテント内でシュラフに包まり19時くらいに就寝して、モルゲンロートを見ようと3時半頃に目を覚ましました。これが見たかったんだ。
反対側では槍ヶ岳がそびえ立っています。みんな写真撮ってる 笑。
昨日は吹雪いててよく見えなかったイルカ岩ぽいやつ。こっちではなく山頂の方にあるのがそうみたいですね。
燕岳山頂へ
初日は天候が悪かったので燕岳山頂は2日目へ持ち越しにしました。まさかテント場から見える山がそうであるとはつゆ知らず。この後の縦走計画もあったので、朝食を食べてテント撤収後にザックを背負って登りに行きました。
燕岳山頂
ここもまた急登の多いこと。ザックが重いので登るのが大変です。登ってる人の大半は燕山荘にデポしているという。私もそうするんだった。
さらに先に見えるのは北燕岳かな。
大天井岳へ
実は燕岳から大天井岳→常念岳→蝶ヶ岳の縦走を計画していたのですが、大天井岳へ向かう途中、道が分からなくなる事態に。
正確にはあるにはあるのですが、燕山荘の方から直登でお願いしますと言われ、その通りにしようとしました。
冬は上の写真の様にロッククライミングさながらルートで、巻き道は滑落必須コースのため、ここで引き返すことに。事前調査不足でした。夏はここから左に巻いて行けるそう。
地図を見る限り、稜線伝いに長く歩くだけと思っていたのにこんな場所があるとは。まだ燕山荘を出て1.2km地点だったので引き返すのは楽でした。
※直登ルートはザックを背負ったまま通れないため、一旦身体だけで登った後に引き上げるそう。
下山
こんなこともあろうかと帰りの交通手段を予約せず、エスケープルートを確保していました。今回は単純に下山するのですが。
途中振り返ってみると何だかとんでもないところを登っていたことに気付いたり。昨日は吹雪で視界が悪かったので気付きませんでしたが、ここからうっすら燕山荘が見えることに気付き、その手前の斜面を登っていたのだと思うと自分を褒めてあげたくなりました。
休憩を重ねつつ、登山口まで降り、最終の登山バスを待ちます。3泊4日の山行を計画していましたが、結果1泊になり、それでもかなり楽しかったです。今回も色々と反省点ありです。
反省
装備
全般
細かなものはコンパス経由ということで。
服装は晴れていればインナー+ソフトシェルで十分です。後は雪の照り返しがかなりきつく、目を開けていられないのでサングラスもしくはゴーグルが必須です。
吹雪いていたときは、靴は保温材入りが必要だと感じました。私の靴は保温材なしのため、指先の感覚がなくなるくらい冷たくなっていました。上下シェルは必須、スパッツは、ほとんどラッセルが必要でないため、不要です。
スノーペグ
積雪用テントのアンカーです。ペグを十字にして埋める方法を練習します。今回は雨を心配してスノーフライシートは用意しませんでしたが、雪だけならスノーフライの方がスカートも付いてるし、寒さ対策にもなりそうです。あと小屋で借りられたから良かったものの、ピッケルが無い場合は小型でもいいのでスコップ必須です。
ピッケル
そろそろ欲しいとつぶやいてお店で見て回るも未だ購入に至らず。必要ないと言えばないのですが、滑落する事を想像すると、燕岳クラスでは持って行った方が無難に思えます。燕岳では柄がストレートの一般縦走用で良さそうです。汎用性を考えるとアイスミックス用でちょっと長め、が良いかな。登山者の半数ほどがピッケル持ちだった気がします。
シュラフ
寒い。モンベルダウンハガー800#2では寒いと知っていたのに本当に寒い。夜の外気温はマイナス5℃ほど。
雪ブロックが風を遮断し切れず入って来たすきま風が寒い。そしてテント自体が通気性を良くする仕組を持っているみたいで外の空気が入って来ます。ということで積雪期テン泊するなら800#1以上を検討します。 今回は着られるものを全部着込んで、靴下は2重にして寝ています。ちなみにハクキンカイロも持参しましたが、外気温があまり寒いためかカイロとして役に立ちませんでした(下山後にほんのり温かくなっていました)
ウォーターリザーバー
プラティパス2Lを持って行ってたのすが、水量が減ってくると飲みづらい。疲れてるのに吸引力が必要なのは大変です。縦走には持って行かない方が良さそうです。もっと飲みやすいものを探してみます。
食料
途中で下山してしまって余してしまいました。メインはお米とフリーズドライ食品です。今回はカルディで買った乾燥バナナチップが活躍しました。おやつ代わりにバリバリ食べられます。こういうドライフルーツは行動食にも持ってこいですね。行動食として常食にしていたシリアルバーは喉が乾くので今後はドライフルーツを考えます。あと、ドライフルーツはおいしいです。
計画
下調べに地図を見る際に、マイルストーンになりそうな箇所を細かく設定します。そのポイントを調べることで今回の攻略も出来たでしょう。と言っても今回の場合は荷物を減らして、岩を登る技術が必要なのですが。
身体の負荷
全体を通してとても大変でした。気軽に月一で行こうなんて言えません。下山後、全身筋肉痛に苛まされます。20kgを越える荷物を背負っての山行が初めてだったのもあり、事前に他の山で登って感覚を確かめておいても良かったです。(15kg程を背負ってのタープ泊トレッキングは過去にもあったのですが)
登りは疲労のせいもあり、最後の方は膝を支点に振り子のようにアイゼンを蹴り入れていました。最小限の力で登るため勝手に身体がそういう行動を取ったのでしょう。
しかし毎回これでは山行計画に支障をきたす為、鍛えるべき筋肉と持久力を養うべく一石二鳥の10kgザック背負い歩きを続けます。スクワットも良いのですが、瞬発的な力より重いものを背負って長く歩き続ける力が欲しいので。
動画
GoPro Hero5で撮影したものです。肩にカメラを付けており、角度調節が微妙で大変見づらいのですが、雰囲気だけでもと思い、アップロードしました。
今後
お盆にまとまった休みが取れれば、木曽駒ケ岳あたりに行ってみたいと思います。出来れば小屋泊で・・・!と言いつつ、やっぱりテン泊したいなぁ。
ひとまず地道にトレーニングに励みます。